2008年7月10日木曜日

まくら(一)

今日もいつものように、電車に乗って仕事場にいったんすが、i-podってあるでしょう? 私はねえこう見えてもオタクですから、いつでもそれの耳当てしてね、いるんですよ。でね、それがとっても古いやつなんです。純正イヤホンはとうの昔に壊れて4代目くらいだか、ぐらいなんすけど、こお〜、JAZZ-VOCALなんか聞きながら電車に乗ってるンですよ。で、朝がそんなに早いわけではないんで、電車は空いてるんです。でね、もひとつ言うと、その電車に乗る前に必ずプラットホームの自販機でブルーマウンテンブレンドのホットを150円也チャリンして購入するんですが、もう夏も近いし、それがすんごく熱いんです。あ〜言い忘れましたが紙コップの容器に出てくるやつでねえ、とにかく熱いもんだから上の方をとりあえずこぼれないように持つんです。ハ〜フ〜、ハ〜フ〜言いながらね、そいでもって空いてる席に座り、首からぶら下げてる鞄を膝に置き、昼近い朝のホームの遠くの方を見るでもなく眺めるでもなく、ぼお〜っとしてるわけです。 梅雨の合間の曇り空、降るんだか降らないんだかはっきりしない天気をぶつぶつ独り言いいながらね、それから鞄をまさぐるわけです、 何をって? 決まってるじゃあないですか、昨日読みかけの文庫本ですよ。そしたらねえ、突然携帯電話が鳴り出すんです、 え? どうゆう状況かと言えばブルーマウンテンの珈琲を右手に持ち、左手で鞄の中をまさぐってるわけですから、 それで、i-pod耳に当ててるわけでしょ? だから軽いパニック状態になるんです、なにしろここにたどり着くまで、起きてから一時間もしてないんです。 あれ? これは何の音だろうと、「だから携帯はマナーモードにしておかないとだめなんだよ!」って、小言の一つでも言おうかしら、なんて人ごとのように考えるわけなんです。 なんの事はない、それが自分の携帯、で、またそれがすごく間ぬけな音なんだ、「オレノハナシヲキケ〜」って例の随分前に流行ってたドラマの主題歌。 あの〜なんつうんですかねえ、パニクってるときに迷惑な音でもってやられると自分じゃない自分が出てくるときってあるでしょう?「ふざけるない、このみんなが不機嫌な状況のときにチャラチャラした音なんか出すんじゃねえやい!」 と、心に叫んだんです。 でもそれは自分だったんです。 動揺しました、年齢的にも衰えてますからね、と、今度は正真正銘のパニックってえいうやつです、 多少心の中で思っていたのかもしれません、「なんで頭がはっきりしてないのにこんな熱い珈琲なんかもってんだ?」 いや〜人というモノは恐ろしい、私の右手はいつしか、ちょっと空いていた膝の上の鞄の中に珈琲を流し込んでいたんです! で、まだそれだけでは収まらず、流し込んだ後にその鞄のチャックを閉めていたんです。 気がついたときにはジンワリと熱い液体が膝にしみこんでいき、中腰になって、そ〜っと誰にも気付かれないよう車両から遠ざかって行きました。 気が動転しておりましたからね、誰か不思議な熱い視線をこちらに投げつけていたんでしょうね。 i-podの耳当てからは、悲しげに「マイ・フーリッシュ・ハート」が流れておりました。

どうにも、解せない?行動というものはあるもんで、くれぐれも珈琲は鞄の中にしまい込んでしまわないようにお気をつけてください。

2008年7月7日月曜日

二百年目

 え〜、何とかサラシコやらサミットやら、今時の日本は情けないのかもしれませんな。その昔、江戸と言うところは内戦もなく二百年も続いたんだそうでして、これは世界的に見ても充分に誇れる宝を我々は持っていたんです。江戸時代の最初の頃は幕府に服従していて、多少つらい目にあっていたかも知れませんが、その内庶民が力を持つようになる、文化的に色んなモノが高まっていって、栄華を極めるようになっていって、で、それはというと、究極の自給自足の非常に環境にも優しい知恵をも兼ね備えた理想郷に近いものだったのであります。
 粋(イキ)という言葉、サムライが両刀を手挟んでエバって往来する・・・「別に人を斬りたいわけでもないのに、なんだか、滑稽だねえ、無粋だよあの人は」などと庶民は思う、その内、なるほどこれは下らぬモノだと思って刀よりも違うものに金をかけるようになる、着る物だったり、女郎買いだったり・・・そうすると製造業では色んなアイディアを出して流行を作り、「今一番のお洒落はこういうやつですよ」なんて売り出す、それが飛ぶように売れる・・・つまり「粋」を媒体として産業が活性化するわけでして、それが人々の夢へとつながるんでして。
 そればかりか、お百姓さんが江戸へ野菜を売りに来る、それを金銭と肥(排泄物)でもって交換する、持って帰った肥は野菜の肥やしになる・・・あるいは、新品を買ってきてちょいと傷んでくるとその修復屋が町内を回っている・・・数え上げればきりがないほどリサイクルな世の中だったんです。
 あれから約二百年経ちまして(江戸末期からいうと約百年ですが)うんと便利になったもののいつも、我々はなにかに追いかけられて、理不尽な苦労をしてるような気がするのでございます。例えば携帯電話というやつね、あれは無くなった方がいいんですね、本当に。こないだ一日、家に忘れてしまって仕事上ではそこそこ往生したんですがすごくね、身体が軽くて、街を歩いていても風景がちゃんと見えるんです。今度ぜひやってみてください、で、出来れば宵越しの銭も持たずに繰り出してやろうじゃありませんか、人間一日二日飯を食わなくても死にゃあしません。電車賃が無ければ歩けばいいんです。

うっかりしてました、お酒だけは借金してでも忘れずに。

2007年5月7日月曜日

黄金餅(抜粋)

今月の月番、又俺たちだよ、
こないだもそうだったじゃねえか、
たしか糊屋のばあさんだった、
今度あ誰かなあ?・・・
大家さんかあ?
オイ、オイ、
・・・・・・・・・
下谷の山崎町を出まして、
あれから上野の山下に出て、
三枚橋から上野広小路に出まして、
御成街道から五軒町へ出て、
そのころ、堀様と鳥居様という
お屋敷の前をまっ直ぐに、
筋違御門から大通りへ出まして、
神田須田町へ出て、
新石町から鍋町、鍛冶町へ出まして、
そのころ、おかめ団子という
団子屋の前をまっすぐに、
麻布の永坂を降りまして、十番へ出て、
大黒坂から一本松、
麻布絶口釜無村の
木蓮寺へ来たときには
ずいぶんみんな疲れたが、
私もくたびれた・・・・・・・・
これでもずいぶんはしょってるんですけど

2007年5月1日火曜日

変わり目

「あら、又酔っぱらってきて・・・」
「だらしのない・・・」
「なんだとお?お前なんか、女房じゃねえか、」
「女房のくせに、かかあの、女・・・」
「ご主人様だぞお、俺りゃ、一番偉いんだから、」
「嘘だと思うんなら、区役所行って聞いてこい」
 と、最近女房が言うようにできておりまして。
(飲んべえが、今夜もたどる酒長屋)

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