粋(イキ)という言葉、サムライが両刀を手挟んでエバって往来する・・・「別に人を斬りたいわけでもないのに、なんだか、滑稽だねえ、無粋だよあの人は」などと庶民は思う、その内、なるほどこれは下らぬモノだと思って刀よりも違うものに金をかけるようになる、着る物だったり、女郎買いだったり・・・そうすると製造業では色んなアイディアを出して流行を作り、「今一番のお洒落はこういうやつですよ」なんて売り出す、それが飛ぶように売れる・・・つまり「粋」を媒体として産業が活性化するわけでして、それが人々の夢へとつながるんでして。
そればかりか、お百姓さんが江戸へ野菜を売りに来る、それを金銭と肥(排泄物)でもって交換する、持って帰った肥は野菜の肥やしになる・・・あるいは、新品を買ってきてちょいと傷んでくるとその修復屋が町内を回っている・・・数え上げればきりがないほどリサイクルな世の中だったんです。
あれから約二百年経ちまして(江戸末期からいうと約百年ですが)うんと便利になったもののいつも、我々はなにかに追いかけられて、理不尽な苦労をしてるような気がするのでございます。例えば携帯電話というやつね、あれは無くなった方がいいんですね、本当に。こないだ一日、家に忘れてしまって仕事上ではそこそこ往生したんですがすごくね、身体が軽くて、街を歩いていても風景がちゃんと見えるんです。今度ぜひやってみてください、で、出来れば宵越しの銭も持たずに繰り出してやろうじゃありませんか、人間一日二日飯を食わなくても死にゃあしません。電車賃が無ければ歩けばいいんです。
うっかりしてました、お酒だけは借金してでも忘れずに。

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